• テキストサイズ

短編集…あんさんぶるスターズ!【あんスタ】

第25章 ありし日の僕ら 仁兎なずな


レッスンも終わり、一年生達が帰って行った。なずなくんは居残り練習がしたいようなので付き合うことにした。


「う~ん、どうもここがしっくりこないな~?」

「振り付け変えますか?くるくるじゃ~んぷ、みたいな。」


私は二回回って飛んでみた。着地に失敗してこけそうになったのを、なずなくんが支えてくれる。


「おいおい、らいじょうぶか~?でも、そのアイディアはいただきだな!」


少し恥ずかしい思いをしたが認めてもらえたようだ。
とりあえず一安心。


「あ、そうだあんず」


なずなくんは踊りながら器用にも話しかけてきた。


「お前…その………好きなヤツとかいるの?」

「ママさんとか好きですけど」

「え!?」


なずなくんが思いっ切りこけた。さすがに支えてはあげられなかったので、ケガをしてないか確かめるために駆け寄った。


「大丈夫ですか?ケガは?」

「あ、いや、その…………さっきの、こと……」


なずなくんはどこか青ざめた顔をしていた。吐き気もするのか、口元を抑えている。


「ママさんのことですか?私の押しはママさんです!」

「………押し?」

「え?好きなアイドルの話…………ですよね?」


なずなくんの顔色がだんだん良くなっていった。そして、うにゅうううぅ…可愛らしいため息をついた。


「こけて損した…」

「え?」

「何でもにゃいっ!!」


なずなくんはほっぺたを膨らませて顔を背けてしまった。しかしすぐに、あ!と声を出して振り返った。


「お前、妖精って知ってるか?」

「あぁ、七不思議の」

「…………妖精には、気をつけろよ。」

「…………まさか、信じてるんですか…なずなくん?」


私がいぶかしんでいると、彼は違う違うと首を振った。


「もう、七不思議なんて迷信なんですから…」

「だかりゃ信じてないって言ってるらろ~!?」


なずなくんは今度こそそっぽを向いてしまった。
/ 683ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp