第18章 とまる
『時間が、止まってる……』
マダムに話しても事情があるので意を決して親代わりである変身術の老人に相談した少女だが思いもよらない結果だった。
トリップ特典の若返りだったらまだ理解が追いついたし、なんなら予想もしていた。
あの老人は人体の詳しい仕組みもよく分かってはいないので何とも正確ではないが老人がいうに
「成長していない。身体の時間が完全に止まってる訳では無いが止まってるといっても過言ではないほど体の成長がゆっくりだ」という。
しかし少女は毎日お腹は空くし(相変わらず量は少ない)、夜は眠くもなる。
どこまで時間が止まってるのか分からないが少なくとも友人達と同じ歳を重ねることが出来ないことだけはハッキリしていた。
人とすれ違うこともなく休日の昼間の廊下を1人寮に向かいとぼとぼと歩く。
なんでこんなにゆっくりなのか。
ハリーの世代まで若く生きるため?
その思考回路はお花畑すぎると少女は打ち消した。
なんにせよバレたらリドル君に問い詰められるだろうなぁ…
少女の思考はぐるぐると渦を巻き、そして思考の渦にハマっていく。
談話室のパチパチと爆ぜる暖炉の火を見ながら少女は人気のない談話室で呟いた。
『どうせなら不老不死とかよかったなぁ…』
【とまる】