• テキストサイズ

制服少女と赤瞳少年【HP】

第17章 VS


「遅いっ!」

『…っ!!』

少年の鋭い声とともに少女の手から半透明の杖が飛んでいく。
パシッと飛ばした杖を捕まえる少年とは対照的に少女は僅かに息が切れている。

強い。
少年が想像していたより強かったのだ。
まだ少年は2年生である。まだまだ攻撃的な呪文こそないものの呪文は強いし当然のごとく無言だ。

『ちょっと、休憩…』

「体力ないね、おばあちゃんだからかな?」

『失礼な!まだ華の10代よ!』

「それだけ、元気ならまだやれるよ。ほら」

そう言って少年は杖を少女に向かって放る。
武装解除の呪文とプロテゴという防御の魔法、この二つしか使わない条件の元行われる決闘は集中力・体力を著しく削る。
少女は無言呪文は出来るものの制度が少年に比べて劣っている。
プロテゴをしていても少年の魔力の強さに押されて後ずさりすることも何度かあった。

「ほら、座り込んでないで立ちなよ」

『おばあちゃんだからいたわってよねー』

少女と少年は向かい合いそして互いに背を向ける。
1…2…と歩を進め3を数えると同時に杖を振る。

『くっ……!』

ともに武装解除を放っており赤い光線が拮抗している。
両者一歩も引かない。
少年が眉間にシワを寄せる。

ジリ………

少女が押されていくのがわかる。
もう一押し、もう一押しで…。
少年は力を振り絞るかのように声を上げ武装解除の呪文を再度唱える。

「エクスペリアームスっ!」

少年の音とともに一気に強まった魔力は少女の呪文を圧倒し、軽く少女を吹っ飛ばした。
ドスン、と鈍い音と共に受け身の取れなかった少女は床に叩きつけられたのだった。

『ゔっ』

潰れたカエルの鳴き声とはまさにこの音だろうという声を上げて少女は床に叩きつけられ気絶したのだった。
そしてカランと軽い音を立てて一振りの杖が落ちたのだった。

【VS】
/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp