• テキストサイズ

制服少女と赤瞳少年【HP】

第1章 転落死というプロローグ


「重...っ!」

朝のラッシュの時間帯にキャリーを抱えた制服の少女がいた。階段にはほとんど人がいなく、おそらく次の電車が到着するまで少女だけであろう。

「...っよ、と」

1段上がり、キャリーを持ち上げ。
キャリーを先に上の段に置き自身が上がり…。
途方もないような階段はもう終わりが見えていた。
まぁ、少女にとってはラスト1段も最初の1段も変わらないのだろうが。

「これを運べば、京都っ………っ!?」

修学旅行の大荷物は角をタイヤが滑り、落ちた。

あくまで自然法則の重力に従い、
とっさに手を離すことなく大きな荷物は
戸惑う少女とともに転落する。

天井の蛍光灯が眩しい。

電車が来るアナウンスが聞こえる。

誰もいないので誰を巻き添えにするわけでもなく、1人と1つは落ちていった。

どこかの童話の主人公よろしく
誰に助けられることもなく
けれど何を追っているわけでもなく
ただただ背中を地に向け
蛍光灯を仰ぎ見て
電車と人の行き交う喧騒の中を落ちていく。

電車の騒音が聞こえなくなり









……制服少女はブラックアウトした。


【転落死というプロローグ】
/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp