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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第64章 【烏と狐といろいろの話 その5】


「いやあ、すごいなあ。」

宮侑がニヤニヤしながら言う。

「思い出したわ、つまりこれが噂の伊達工の主将くんとの喧嘩なんやな。」
「修学旅行で聞いたあれがまさかここまでとは思わんかった。」

治がポツリという。

「なー、ごっつい(すごい)な。あとで銀らにメッセ送ったろ(送ってやろう)。」
「動画撮って送ったったほうが早いやん。」
「阿呆サム、まま兄くんに怒られたいんか。」
「そうやった。あと、誰が阿呆や。」

コショコショと言い合う双子に対し、

「二口君やったか、ままコさんと会う度あれか。」

北は北で静かに力に尋ねる。

「恥ずかしながら。」

力はやはり苦笑するしかない。

「美沙は二口君相手だとなんか我慢できないみたいで。他からもっとひどいこと言われても無視出来るのに、こればっかりは俺も基準がよくわからないです。」
「存外」

北はやはり静かに言った。

「ままコさんがある程度気ぃ許してるんかもしれんな。」
「え。」

キョトンとする力に北はふと笑った。

「感心できる状況やないのも事実やけど。なんぼままコさんでもほんまに好かん相手にあそこまでもの言わんやろ。」
「その発想はありませんでした。」
「とはいえ、流石に騒ぎ過ぎやな。」
「縁下ー、そろそろ俺ら動くぞー。」
「ってまま兄くん、おっきいほうの坊主くんが言うてるけど。」

成田の声を聞きつけた侑に言われ、力は自分も止めに行こうとして、ふと気がついた。

「成田ー、大丈夫そうだ。」

向こうの方で成田が木下と一緒に首を傾げており、当然稲荷崎勢も不思議そうに力を見る。

「茂庭さんが動いてるからー。」

力は成田に向かって答え、言われた成田と聞こえた木下が納得した様子を見せる。
未だよくわかっていない稲荷崎勢がやはり様子を見ている間に事は動いた。
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