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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第11章 【鉄壁3年とエンノシタイモウト】


「生まれた時には両親がいなかった、関西出身のばあちゃんに育てられて関西弁になった、そのばあちゃんも最近亡くなって親戚が誰も面倒見てくれないからお母さんのお友達やった縁下さんちに引き取られて学校も名前も変わった、今ここ。」

美沙は例によって悲劇ぶる事なくさらりと語るが聞いた瞬間鎌先と笹谷は一瞬固まった。既に事情を知っている茂庭は苦笑している。

「相変わらずだな、美沙さん。」
「だって私もばあちゃんも両親も縁下のお父さん達も兄さんも悪い事してへんもん。」

烏野の連中も大方が微笑んでいる中うおおおと暑苦しい声が上がった。言うまでもないかもしれないが鎌先である。

「お前えええええええっ。」

涙しながら喚く鎌先はうるさい以外の何者でもない。しかもガシィッと美沙の両肩を掴んだのだ、必然的にこうなる。

「ふぎゃああああああああっ。」
「あっ馬鹿。」
「縁下も落ち着けっ。」

美沙は叫び茂庭が声を上げて成田が無表情で鎌先に突進しようとした力を引き止める。何となく似た流れがどこかであった気がしなくもない。

「こら鎌ちっ、美沙さんを掴むなぁっ。」
「だって、だってよ、すっげえ人生じゃねえかよっ。」
「いや別にすごないです私望まれて引き取られたし烏野のみんなは親切やし兄さんはめっちゃ大事にしてくれるし。」
「かほ」
「笹やん、それ以上言うなよ。」
「良かったなああああ幸せになれよおおおおっ。」
「あ、ありがとうございます。」
「おいそこの兄貴っ、お前もちゃんと幸せにしてやれよっ。」

今度は力に向かって怒鳴る鎌先、力は勿論ですと微笑む。

「それより」

微笑みながらも力は言った。

「美沙を離してやってもらえますか。」

出たよと木下と成田が呟くのが聞こえるが力は敢えて無視する。

「何だよ随分神経質なヤローだな。心配すんなそんな女子っぽい奴じゃねーから特に何の気も起こらねえよ。」

鎌先はガッハッハッと笑うが茂庭がおいいっと青ざめる。烏野勢は既に多くがあーあという顔をしていて笹谷もあ、やばそうという顔をしていたが鎌先は気づかない。
そんな中縁下力は完全に顔から表情がなくなっていて今度こそ突進しようとしていた。大慌てで木下と成田が後ろからひっつかんでいるが止まらない。
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