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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第61章 【烏と狐といろいろの話 その2】


一方で、何も知らない影山は双子とそのお目付け役と美沙の義兄の方へ駆け寄る。

「あ、飛雄くんやん、久しぶりー。」
「やあ、影山。」
「こんにちはー。」
「ちわっス、あ。」
「稲荷崎高校の北信介です。うちの双子がお世話になってます。」
「烏野高校の影山飛雄です。逆に俺がお世話になってるっス。よろしくお願いします。」

取り急ぎ挨拶が済んだところで

「ところで影山」

力が例によって目は笑っていない笑顔を後輩に向ける。

「会って早々に申し訳ないんだけど。」
「なんスか。」

言いながらもこの時、影山は何故美沙が全力で自分を止めようとしたのかやっと理解したという。

「こちらのお二方が何故か美沙の旧姓をご存知なんだけど」

目だけ笑っていない笑顔、過剰な敬語の先輩を見て、影山はしまったと言わんばかりに顔を青くして震え始める。

「どういうことかな。」
「すっ、すんませんっ。」

身長約182cmのでかいのが自分よりも約6cm低い先輩に威圧されている様は、第三者目線だと面白いかもしれない。

「つっ、つい口が滑ってっ。」
「影山、ちょっとかがんで。」
「は。」

影山は不思議がりながらも言われるままに少し腰を低くする。
美沙がバタバタ戻りながら、兄さんあかんて、やめたげてと叫んでいるのが聞こえる。

そして縁下力はというとまさかの行動に出た。

「へえ、この口がかあ。」

なんと影山の口の両方をつまんで引っ張るというどこかのギャグ漫画張りのことをし始める。

「滑るというより、すごく伸びる口だなあ。」

影山は縁下さん痛いッス勘弁してください、といった意味のことをフガフガと言っているが力は止まらない。
人目があることも完全に忘れているようだ。

「兄さん、ほんまにあかんて。私は気にしてへんから堪忍したげて。」

だがしかし義妹の声は届かないし、影山はイテテテという状態になりながら恐怖している始末、どうしようもない。
後々に美沙が親友にしてクラスメイトである谷地仁花に言ったところによれば、この時人生で一番義兄が厄介に思えたという。
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