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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第57章 【王者の恩返し】 その4


そういう訳で五色に勝負をふっかけられ、しかしそれを断った縁下美沙であるが、

「随分取ってきたなぁ、」

白鳥沢側のテーブルで瀬見が呟く。

「食いきれんのか。」

言われているのは勿論、五色工その人だ。
ステーキをモグモグしながら、もちろんですといった意味のことを返すが、別の方向から白布の冷たい視線を感じたのか一旦飲み下す。

「もちろんです。」

五色は言い直した。

「ままコに負けてられないんで。」
「さっき思い切り勝負断られたんじゃ。」

川西に突っ込まれて一瞬うっと唸る五色、しかし

「関係ないッス、俺が勝ちたいんです。」

切り替えが無駄に早い。

「向こうはなーんも気にしてなさそうだけどな。」

更に山形が美沙の方を振り返って言う。

「付き合ってられないんだから当然でしょう、あの妹だってそれくらいのスルースキルはあるかと。」
「賢二郎は冷静だな。」

大平が白布に感心しているところで、また向こうでは美沙が動いていた。

「あの子も大概だな、まだ食べる気か。」

呟く大平に澤村がもしかしたらと話に参加する。

「俺らが見た中で一番食べてるかもしれん。」
「んで、今回ブラザーストップがかかんない不思議。」

菅原も口を開き、

「ブラザーストップとは。」

思わず尋ねる山形に菅原はサラッと

「医者はいないから止めるなら兄貴の縁下。」
「わかったけどなんだかなぁ。」

こめかみに汗を浮かべる山形、言っている間に縁下美沙は皿を持って席に戻ってきている。

「馬鹿なのあいつ、ここのメニュー全制覇でもするつもりなの。」

月島が呆れ返った調子で言った。
彼の眼鏡の向こうで僅かの間に映った美沙の皿には中華風の続きで衣に味がついている唐揚げや海老チリ、牛肉と野菜の炒めもの、そうかと思えばパスタ類などまた結構な種類が乗っている。

「ていうか、またご飯ものも盛ってる。天津飯のおかわりかな。」

山口がアハハと苦笑し、月島はフンと鼻を鳴らす。

「濃いもの苦手とか言ってるくせに。」
「濃いのはもう諦めて、だいたいは美味しいからいいやってノリじゃね。」

木下がフォローを入れると月島は2年の皆さんはままコさんに甘いのではとブツブツ呟き、しかしそれ以上は何も言わなかった。

が、
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