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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第49章 【Sorry for Dali その2】


ここでソワソワしても仕方がない。今は休憩中だがいい加減にしないと練習再開してからも顔や態度に出て、烏養に怒られかねない。
成田や木下におちょくられるだけならともかくそれはごめんである。

そういえば、ふと力は前日の土曜日の事を思い出した。


その時の夜、力のスマホに東京は梟谷学園高校の2年にしてバレーボール部の副主将、赤葦京治から通話が入ってきていた。

「こんばんは。」
「こんばんは、赤葦君。急にどうしたんだ。」

尋ねる力に赤葦はいや特に、と呟く。

「しばらく話してなかったって思ったら何となくね。」
「赤葦君でもそんなことがあるんだな。」
「まぁね。ところでままコさんとは相変わらず熱愛してるのかな。」

美沙がハンドルネームままコとして動画を投稿したり時折ライブ配信をしている事を知っている赤葦は、からかいたい気分の時に美沙を敢えてハンドルネームで呼ぶ。

「熱愛ってうちの美沙は芸能人か。」
「ある意味芸があると思うよ。」
「スマホとパソコンに若干強くて動画を投稿するのは芸なのか。」
「それもだけどボケツッコミの激しさが芸に近いものがある。」
「勘弁してくれよ。」

淡々としかし好き放題言う赤葦に力は苦笑する。

「確かにコアなファンがついちゃってるけど。」
「稲荷崎の宮兄弟も転がしてるんだろ。やるな。」
「転がすって、人聞きの悪い。むしろあいつが弄られるから大変だよ、セクハラするやつもいるし。」

力はため息をつき、赤葦はそうだったねと呟いた。

「だから毎度あいつが俺抜きで外に出るってなると気が気でなくてさ。」
「おや、出不精のままコさんがまた出かけるのかな。」
「勘がいいなぁ。」

苦笑する力、毎度赤葦の冷静かつ鋭い洞察には恐れ入ると思う。

「実はさ、」

力はそう切り出した後、義妹と茂庭が出かける予定になった事の次第を話した。

「へぇ。」

話を聞き終わった赤葦は特に感情を表に出した様子もなく言った。

「茂庭さんて確か前に文化祭で会った伊達工、の前主将だった人だよね。御本人に直接あった事はないけど。」
「ああ。」
「それとあの二口君と青根君を手懐けた人だって聞いたけど。」
「そう。」
「で、今回のまま兄(あに)の心配は。」
「おちょくるなって。」

まったくもうと呟いて力はスマホを持ち直す。
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