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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第47章 【王者の命】その7


「めっちゃ疲れた。」

義兄が食し終わった食器を片付けた美沙が自室のベッドにぼふっと倒れ込んでいる。

「お疲れ様。」

横には義兄の力が転がっていて、倒れ込んだ義妹に両腕を伸ばす。

「兄さんも。」

美沙は微笑んで義兄に抱きつく。義兄の手で頭をなぜられ、いつもどおり満足そうにその胸に顔を埋める様は間違いなく今日知り合った寒河江達の前では見せないものだ。

「なんちゅうか、近くで見たことなかったけどやっぱりウシワ、牛島さんらは凄いんやね。」
「そうだな。あれで練習試合だってんだからやっぱりとんでもないよ。」
「何気にみんなめっちゃ悔しがってたんちゃう。特に日向と影山。」
「出てない俺でも打ちのめされた気分だったからな。実際ミーティング重かった。」
「せやろねぇ。」
「それはそれとしてお前も頑張ったな。」
「そお。」

埋めていた顔を上げて疑問形で言うと義兄は微笑んで頷いた。

「ただ、向こうの監督をいきなりなでなでしたのにはビビらされたけどね。」
「ばあちゃんが」

ここで美沙はうつむいた。

「亡くなるしばらく前によう咳してたから。」

一瞬の沈黙の後に力はそっか、と息を吐くのとほぼ同時に呟く。

「気遣いは伝わってたと思うよ。」
「そうなん。」
「うん。実際ひどく怒られたりしなかったろ。」
「確かに。」

この時力は鷲匠の名誉のために、彼が気恥ずかしそうにしていた事は口外すまいと思っていたという。

「あとはあれかな。」
「あれって。」

美沙はまた顔を上げる。

「寒河江君達と仲良くなったのは別にいいけど、また色物が近付こうとしてたのには参った。」
「色物かどうかはおいといて何やろね、どうにもこうにも文化祭あたりから増えたような。ちゅうか、私が一番びっくりしたんは兄さんがついでに動画の宣伝に転換してくれたとこやけど。」
「いっその事使えるものは使った方がいいかなって。お前だってきっちり再生リストとSNSの垢の紙持ち歩いてただろ。」
「いつもの癖でつい。」
「しかもいつの間にやら紙も名刺用のに変わってるし。」
「あ、そういや牛島さんと五色君に新しくなったん渡すの忘れてた。」
「また会った時に渡したら。」
「そないする。」
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