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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第46章 【王者の命】その6


彼らが言っている間に美沙は出来上がったDVDのうち一枚を鷲匠と斉藤の所へ持っていっている。少し下がって力もついてきている点については何も言ってはいけない。多分。

「お待たせしました、これで出来上がりです。」

DVDを差し出すと斉藤が微笑んで受け取った。

「ありがとう。」
「大丈夫だとは思いますが、プロジェクトファイルを残してますので修正はききます。万が一の時はご連絡ください。」
「わかった。それにしても本当に助かったよ、急に来てもらったのにここまでしてもらって。」

ここで斉藤はねぇ、と鷲匠に声をかける。
何も聞こえていないかのように他の方角を見ていた鷲匠はゆっくりと美沙、そして力の方を向いた。

「若利が推薦しただけはあるな。」

ぼそりとつぶやかれた言葉に義兄妹は思わず同時に頭を下げていた。

「ありがとうございます。」

顔も違えば微妙に言葉の抑揚も違う2人、しかし鷲匠は顔を上げた時の2人の笑顔がそっくりだと感じたという。

縁下兄妹は気づいていなかったがこの時、意外な所でも反応があった。

「今の見たか。」

赤倉が寒河江に言っている。

「見た。」

寒河江が頷いている。

「笑ってるとこめっちゃ似てたな。」
「うん。」
「本当の兄妹じゃないのに」
「不思議だよな。」
「でもさっきも思ったけどさ、美沙さんってあんま笑わない分笑ったら何か凄くいいよな。」
「あ、それ思う。」

反応していたのは2人だけではない、密かに白鳥沢の他の1年生も何やらひそひそしている。

「いやお前らやめとけって。」

そのひそひそを聞きつけた寒河江が慌てた。

「あのお兄さんに殺されるぞ。」

力が早速赤倉にここまで言われているのもどうなのか。
しかし寒河江と赤倉の忠告も言われた方はなんのそのといったところである。

「知らねーからな。」

寒河江は諦めたように呟いた。


そんなこんなで縁下美沙は依頼を完遂して、今度こそ帰り支度を始める。
力は一旦排球部の方に戻ってまた阿呆をしている田中や西谷に突っ込みながら自分の帰り支度をしていてすぐ側にはいない。

美沙が鞄を閉めようとしたところで声をかけられた。
寒河江達とはまた別の白鳥沢の1年生達だ。
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