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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第43章 【王者の命】その3


一方、機材の所へ連れて行かれた美沙の方は確かにテンションが高かった。

「わー。」

どうにも表情が乏しいと言われがちなやつが目を輝かせている。

「凄い、流石、このカメラ4K撮れるやつや、レンズはやっぱり安定のこのブランドか、モニターがこれで、あのこれはタッチパネルですかそうですか、メモリカードとバッテリーはああここですね。あの、オートフォーカスは勿論、ありますよねそうですよね、それとこれがガンマイクで、このまま撮ったらいいんですよね了解しました。」

テンションが上がってやたら喋る喋る。

「ああああしかもパソコン、憧れの林檎印っ。これ最近出たノート型ですよね、凄っ早っ、流石SSDとクアッドコア、ん、ということはUSBの差込口はなしか、ああやっぱり外付けカードリーダーか、モニターは15インチかな、お、これが噂のタッチバーっ。」
「相変わらずのようだな。」

パソコンにも反応して暴走状態の美沙に牛島がやってくる。

「あ、ウシワカさん、リアルではご無沙汰してます。」

すっかり慣れた相手に美沙は鷲匠と斉藤が居ることを忘れていつものノリで喋った。阿呆である。

「確かに。だがその呼び方はやめろ。」
「すみません、いっつも。あっそれより牛島さん、兄から牛島さんが私を推したって聞いたんですけどっ。」
「他に思い当たる節がなかった。」
「まさかその時監督さんらに電脳娘なぞと。」
「言った。」
「何でっ。」
「名前が咄嗟に出てこなかった。」
「天然にも程がありますやんっ、もーっ。」

美沙は言いながら牛島をペシペシとはたきだした為、白鳥沢の部員達がえええええと恐れおののいている一方で美沙に慣れている天童がぶっひゃっひゃっひゃっと腹を抱えて笑いだす。
指導者側だって穏やかではいられない、さっきまでの比較的大人しいところから一転した為か斉藤は圧倒されたかのように苦笑している。
鷲匠は意外にもその場で怒鳴ることなく特に表情も変えずに黙っていたが、後に斉藤に語った所によれば小娘の関心がマニアック気味だった事、関西弁である事、あのちゃんと食っているのか怪しい見た目に反して随分勢いがあった事で怒りより驚きの方が勝っていたという。
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