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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第36章 【トラブルドゥトラベリング】その2


そういう訳で修学旅行当日である。

「とりあえず無事に家出れた。」

行きの乗り物の中、縁下美沙は呟き隣の席の谷地は苦笑している。

「ちょっとそこ、」

いったいどういう巡り合わせなのか近くの席にいた月島が口を挟んできた。

「訳わかんないのは日向だけで間に合ってるんだけど。」

この時勝手に引き合いに出された日向は遠くの方の席で本能的に何か腹立つものを感じてムムッとしていたという。
一方、言われた当人は

「そないいうけど」

困ったように答えていた。

「大体こういう時兄さんがめんどい(面倒くさい)んやもん。忘れ物ないかっちゅうんはわかるけどくれぐれも変なのに絡まれんようにとかナンパには聞こへんかった振りしろとか迷子になるなはぐれるなとか飴やる言われてもついてくなとか外出る時は焼けるから絶対に帽子被れとか日焼け止め塗ったかとか他校と会ったらとにかく目を合わすなとかどっから突っ込んだらええもんか。」
「他校と会ったらのくだりは僕としてもお願いしたい所だけどね。」
「ていうか縁下さんって美沙さんが出かける度にそうなの。」

汗を浮かべて尋ねるのは月島の隣にいた山口で、美沙はせやねんと頷く。

「昨日の夜も散々やかましゅうてさ。でも今日は私が先に家出たからその心配なかった。」
「それは良かったね、ん、良かったなのかな。」

1人で言って1人で考える谷地に美沙はあ、そうそうと付け加える。

「何か兄さんが男バレの皆に訳わからん事頼み事したらしいな、ごめんホンマ巻き込んでもて。」
「いやまぁ大丈夫だよ美沙さん、気にしないで。」
「そうそう、縁下さんが心配するのは俺らもわからなくもないし。」
「2人共遠慮することないんじゃない。僕ははっきり言わせてもらうけど何が悲しくてこっちも縁下さんのシスコンに付き合わなきゃなんないワケ。」
「せやからごめんて。」
「とにかく。」

月島はここで念を押すかのように若干大きめの声で言った。

「基本自分の身は自分で守ってよね、僕らはボディーガードじゃないんだから。」

美沙は別にそないなつもりないしと反論しようとしたが月島は素早くこう付け加えた。
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