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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第32章 【強引g his way】その3


烏養の指示で外に出ることが最優先された為美沙は及川に抱っこされたまま、義兄の力はその及川に並走するという形で外に出た。及川からすれば幸い、美沙からすれば不幸である。
そんな訳なので烏野、青葉城西の一行があまり影響のでなさそうな所へ出てからまず力がやったのは美沙を及川から取り戻そうとする事だった。
が、その前に

「ばっかやろーっ。」

烏養がカンカンである。先に伊達工との事があったのだから無理もない。

「他校とはいえこればっかは言わせてもらうぞてめーいきなり人前で奇行に走ってうちのもんビビらせるやつがあっか仮にも主将だろーがっ。」

青葉城西―及川以外はとばっちりだが―は全員シュンとしてすみませんでしたと大人しく聞いている。
美沙はこの時及川に抱えられたままであり、力も及川から義妹を取り戻すべくすぐ側にいた為縁下兄妹も巻き添えで烏養のお説教を聞く羽目になっている。
立て続けの異常事態に嶋田と滝ノ上は呆然とガミガミ言っている同級生を見つめており、しかし一方で田中冴子が興味深そうにしていた。

「へー、青城の及川が美沙のファンってマジなんだ。」
「な、言ったろ。」
「でもセクハラは許さん。烏養君の説教の後追加でとっちめてやらないと。」
「気持ちはわかるけど落ち着けねーちゃんっ、事を大きくすんなってっ。」

拳に握った片手にハアアと息を吹きかける姉に慌てる弟の田中、こういう時の彼は苦労人といえるかもしれない。

「な、頼むって。どうせねーちゃん出る前に縁下が出るからよ。」

弟の懇願に冴子は一旦引っ込みそうしているうちに烏養のお説教は終わった。どっと疲れたのか烏養は背を向け、緊張の糸が途切れた生徒達はめいめい好き勝手に話しだす。

「ごめんね美沙ちゃん、久しぶりに会ったのに巻き込んじゃって。」
「あんまりこう言うん好きちゃうけど今回はばっかりはホンマに。」
「しばらくオフラインで会ってなかったからもう我慢きかなくてさ。」
「はたしてそういう問題やろか、とりあえず離して。」
「もうちょっとだけ。」
「嫌っ、アカンっ。毎度言うてるけど兄さん以外は抱っこ禁止っ。」
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