• テキストサイズ

【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第30章 【強引g his way】その1


そういう訳で自室に戻った美沙はベッドに座って早速愛用のスマートフォンを取り出しメッセージアプリを起動した。
更にリストから呼び出した友人は"谷地仁花"と表示されており、早速無料音声通話をかける。
受話口から呼び出し音が流れることしばし。

「はい。」

親友の谷地仁花の声が響いた。

「あ、ごめんなやっちゃん急に電話して。」
「ううん大丈夫、でも珍しいね美沙さん。」

確かに自分はめったに音声通話をしない。電話の向こうの親友はさぞかしキョトンとしているだろうと美沙は思う。

「いやちょお聞きたい事があって。」
「なぁに。」
「さっき兄さんから今度男バレが行く試合の見学に私も連れてく事になったとか何とか訳のわからん話聞いたんよ。」

美沙が言ってすぐに谷地はああーと呟いた。口調からして苦笑しているのは間違いない、やっぱり何かあったなと美沙は思った。

「じ、実はその」

とても言いにくそうにしながらも谷地は事の経緯を教えてくれた。
直後谷地の方は受話口からぼふっという音を聞いたことだろう。

聞かされた経緯に思考が停止した縁下美沙はベッドで横向きに倒れていた。

しばしの沈黙の後に谷地仁花は受話口から兄さんの阿呆ぉぉぉぉぉっという絶叫と美沙五月蝿いと叱る縁下力の声を聞いたという。


多くの読者諸氏には言うまでもないことであるがこういう場合美沙がどれだけ文句を言おうとも事は決行されてしまう。
故に烏野高校男子排球部が試合の見学に行く当日は一行の中に縁下美沙が混じっており、話は一番最初に戻る。

「許可取ったてよう言うわ、やっちゃんから聞いたで烏養さん根負けさせたって。訳わからんにも程がある。」
「俺は何もしてない。」
「まだ言うかこの人は。ちゅうか」

美沙はここでじーっと前を歩く烏養繋心の背中を見る。

「烏養さんも烏養さんや。」

ビビりの人見知りの癖に声はわりと通ってしまう美沙、勿論これは烏養の耳に届いた。
いつもならこら縁下妹と怒鳴ってくる所だが今回事情が事情の為烏養は何も言わない。
美沙からは見えていなかったし聞こえていなかったがこの瞬間烏養はうっと唸って顔を少し青くしていた。
/ 702ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp