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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第29章 【コックローチアタック】


その日の放課後縁下美沙は男子排球部の部室にいた。
以前自分のせいで部室内が大騒ぎ、他の部からクレームが入ってしまった為縁下美沙は立ち入り禁止―表向きは―になっていたのだが今日は義兄の力が主将の澤村に無理を言って留め置いたのである。
理由はこの所美沙が図書室で義兄の部活終わりを待っていると男子がよってくるからだ。文化祭のコスプレ喫茶でロリータ服を着て化粧をした結果まさかの副作用が残った訳で、勿論義兄の縁下力は事態を重く見た。
美沙は嫌や大丈夫やと抵抗した訳だが力はそれを全力で押し流し結局今に至る。

「何か間違(まちご)うてる気がする。」

部室の畳の上に正座して美沙は1人でブツブツと呟く。ロッカーや男子排球部の連中の鞄が並び壁にはアイドルのポスターや、ロッカーには部の目標などがとりあえず貼られていたりする殺風景な畳の室内、他は特に見るものもやることもないので困ったものだ。
仕方がないので美沙はそこいらにあった椅子を引き寄せてその前に正座、それを机代わりにして宿題を始めるのだった。


美沙がそうしてしばらく宿題をしていると部室のドアがガチャッと開いた。

「あれ、美沙さん。」

疑問形で声をかけてきたのは美沙の隣のクラスでもある山口忠である。

「どうしたの、縁下さんに留め置かれるの恥ずかしいから表向きうちへ立ち入り禁止にしてもらってたよね。」
「それやねんけど兄さんが謎の強行突破に出てもて。」
「つまり。」
「文化祭以降どーゆー訳か図書室で待っとっても声かけられるようになってもて、兄さんがけしからんってなって澤村先輩に掛け合ってここで待たされる事になった。」

山口はああと苦笑する。
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