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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第28章 【パニック at the 文化祭】後編 その4


「お、おお、縁下がガチギレしておる。」
「一仁やべぇっ、このままじゃ影山死ぬぞっ。」
「死なせてたまるか。木下、美沙さんは。」
「まだ固まってる。」
「珍しいな、いつもならそろそろ気がついて兄貴に何か言うのに。」
「どうする。」
「まず美沙さんを起こそっか。」
「どうやって。」
「丁度色々人が集まってるから使わせてもらおう。早速赤葦君協力よろしく。」
「さらりと巻き込んでくれるね。いいよ、縁下君とままコさんには世話になってるし。」

成田が水面下で動き始める中で力は影山をどんどん追い詰めている。追い詰められた影山はとうとう校舎の壁に追いやられた。
力がにっこり笑ったまま足を止める。もはや壁から先に進めない影山は両手を肩の辺りまで上げた状態でプルプル震えている。
瞬間、ドンッという音が響き影山の体のすぐ横には力の片腕があった。
何と色気もへったくれもない壁ドンであることか。力は不良とは真逆の優等生だが今回ばかりはまるで不良のようである。
しばし力はそのまま黙って俯いた。影山は恐怖で動けず、美沙を起こそうと動いている以外の連中は固唾を呑んで様子を見守っている。

「え、縁下さん。」

ようやっと影山がそう呟くと力はすぅと顔を上げた。やはり顔は笑っているが目が笑っていない。身長で言えば明らかに自分の方が高いにも関わらず影山は先輩の物凄い威圧で震えがひどくなった。

「おい、」

そろそろ影山の意識が昇天するのではないかと思われる所でとうとう口を挟んだのは岩泉だった。

「その辺にしといてやってくれ。そもそもはそこのクソ川が姑息に誘導したんが原因だ。」
「岩ちゃん変な印象操作しないでっ。」
「うるせぇ。」

岩泉の言葉は届いたらしい。力は正気に戻った。キョトンとした顔で色気のない壁ドンをした手を離して岩泉の方を振り返る。

「どういうことでしょう。」

尋ねる力に岩泉はかくかくしかじかと影山が及川にうっかり喋ってしまった経緯を話した。

「つー訳だ、あまり影山を責めてやるな。」

そう話を結んだ岩泉に対し力はハアアと大きくため息をつく。

「及川さんがそこまでするとは。ごめんよ影山、やりすぎた。」
「い、いえ。」
「俺もマジで悪かった。」
「お、おう。」
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