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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第22章 【大人になってもご用心】


「あっ、お兄ちゃん。」

美沙が言った瞬間烏野の連中が今度は凍りついた。無理もあるまい、ツンデレで通っているあの縁下美沙が人前で甘えたモード全開の喋りで義兄に向かってお兄ちゃんなどと言っているのだ。更に

「ば、馬鹿やめろっ。」

力が叫ぶ。力は義妹に抱きつかれていた。

「美沙離しなさいっ。」
「なんでー、嫌ー。」
「嫌じゃない、離せってっ。」

顔を真赤にして力は叫び続ける。チームメイトどころか青城の連中のほぼ全員が興味津々で見つめている。国見ですらポーカーフェイスでしかし明らかに面白がっている雰囲気だ。そうではないのは金田一と京谷で金田一は青ざめた顔で引いており、京谷はちっと舌打ちをするのみだった。
更には監督やコーチも硬直してこっちを見ているものだから恥ずかしいことこの上ない。

「お兄ちゃん大好きー。」
「うんそれは知ってるし嬉しいけど離れろってっ。」

何度か拒否していると美沙の表情が変化した。小さな唇を尖らせムーと頬を膨らませている。力は迂闊にもあ、今の可愛いと思った。甘えたモードの時なら見られない事もないがそもそれ自体が珍しい。だがしかしここでややこしいことになる。

「美沙ちゃあああん。」

及川である。ドドドと美沙の後ろから駆け寄ってきている。手つきからして美沙が言うところの抱っこをする気であるのは明らかだ。岩泉がやめろこのヤロだからてめーは変態だってんだこのクソ及川っと喚くが聞いていない。ここで及川が美沙に抱きつき美沙がふぎゃあああと叫んでから兄さん以外は抱っこ禁止と及川を叩くのが通常の流れだ、あくまで通常なら。だが今回その場にいた烏野、青葉城西両校とも信じられないものを見た。

「及川しゃあん。」

何と今回縁下美沙が自ら及川に抱きついた。

「え。」

及川が間抜けな声を上げた。無理もあるまい。

「美沙ちゃんっ。」
「こら美沙っ。」

力が怒るが美沙は聞き流している。これまた異例だ。
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