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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第17章 【どうしてこうなった】後編


やがてその瞬間は来た。

影山が上げた、日向が飛んだ、しかし次の瞬間打ったのは

「兄さんっ。」
「縁下あああああああっ。」

力だった。美沙がまた柵を越えんばかりの勢いになり、成田や木下、他烏野の連中が盛り上がる中力の打球は見事に決まった。


しばらくした所で力はすぐ交代した。さっきの以外で戦績は振るわない、力量不足はわかっていた事だ。それでも練習試合とはいえ今までで一番緊張しなかった。

「縁下お疲れ。」

菅原に言われて力はあ、はいと返事をする。

「やー、美沙ちゃん効果抜群だったなー。」
「な、何の話っすかっ。」
「あれ、ちげーの。」
「関係ありませんからっ。」
「どー見ても及川さん目の敵にしてたじゃん。」
「木下、お前誰の味方なんだ。」
「俺。」
「疑問形で返すな。」
「そもウォームアップ時の奇行のせいだから。」
「成田にまで言われるか。」
「まあまあ皆さん。」

とうとう谷地が口を挟み、しかし力をチラと見てニッコリ笑う。

「美沙さんめっちゃ見てましたよ、落っこちそうな勢いでした。」
「嬉しいんだか危ないから勘弁して欲しいんだかだな、それは。」

力は苦笑した。


そうやって白熱した練習試合は終わった。2階に登っていた美沙は武田に呼ばれて降りていく。

「乱入してお騒がせしてすみませんでした。それと見学させて頂きありがとうございます。」

青城側に頭をさげると入畑は微笑んでおり、溝口はしゃあねえ今回だけだぞといった風である。

「俺らはラッキーだったけどねっ。」
「"ら"じゃねえ、巻き込むなこのクソ川。」

調子の良い及川に対し岩泉が突っ込むが及川はそんなことないと反論する。

「ほらー、狂犬ちゃんもソワソワしてるし。」
「してねえ。」

京谷は唸るが顔が若干赤い為気づいた矢巾にニヤニヤされた。睨むも矢巾は本能的に飴やろうとしてたじゃんと返す。

「ったく、どうしてこうなった。」

更に溝口が口を挟む。

「本当に申し訳ありません、うちの妹が。」
「誰の妹だって。」
「俺の妹です。」

困った風に笑いながらそっと前に出て義妹の側に寄り添う力、並ぶ兄妹の顔を溝口が交互に見るのは例によってしかたあるまい。
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