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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第17章 【どうしてこうなった】後編


阿呆な事はしばし続いたがしかしいつまでもではない。ウォーミングアップのゴタゴタが過ぎて始まった試合は練習とは思えないくらい空気が張り詰めていた。
バンバンコート内を飛び交うボール、目が追いつかないと思いつつ美沙はそれを必死で目で追う。響く烏野側の応援、義兄の力は今の所まだウォームアップエリアにいて試合には出ていない。青葉城西側はというと及川は美沙にも目をくれず—くれても困るが—ひたすら集中しているのが見て取れる。いつだったかも見た事があるがバレーで本気のあの人はやっぱり怖いと美沙は思った。迂闊に触れたら命が削られそうな大袈裟かもしれないがそんな感じである。同じく二階で観戦している連中も息を飲んでコートを見つめていて電脳少女のTシャツを着た妙な約1名の事など忘れている雰囲気だった。
田中がスパイクを決めてうおおおと吠える。かと思えば岩泉がバシィッと決める。本当に練習試合か、恐ろしいまでの気迫だった。


そうしてしばらくゲームが続いたところで烏野側で選手交代が入った。

「あっ。」

美沙は思わず柵から身を乗り出しすぐ近くにいた青葉城西の女バレー部員に危ないと引っ張られて怒られる。

「すみません、兄が出るみたいでつい。」

女バレー部員はお兄さんと首を傾げる。

「あの、あっちの6番のビブスつけてる。」

女バレー部員はふーんと呟きしばし美沙の顔を見る。あれさっき及川にスパイクぶつけかけた奴だよねと言われて美沙は顔を赤くした。

「す、すみません、何でか知らん私が絡むと兄は暴走しがちで。でもいい兄です。」

女バレー部員は美沙の顔を覗き込み、それから交代で入った義兄の力の方を見る。なるほどと彼女は呟いた、話にはきーてたけど確かに烏野の男バレは得体がしれないねと。
逆に美沙はキョトンとしたのだった。
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