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【HQ】春が始まる。(烏野逆ハー)

第14章 大地さん。




大地さんの言葉が、じわじわと体に染みて、それはまた涙に変わる。



私は思わず彼に抱きついた。



これからも今のように、彼の本音をきちんと伝えてもらえる存在でありたい。



そして、もっともっと大人になって、大地さんを包み込めるようなくらい器の大きな人間になろう。



そんな風に思った。



けれど。
再び私の背中に腕を回してくれた彼が、私の今の考えを見透かしたように言う。



「さっき、俺のこと支えたいって言ってたけどさ。俺の好きなタイプってどんなやつだったか覚えてる?」



「え、えーと……守ってあげたくなるような子……ですよね。」



「そう、まさにお前みたいな子だよ。だからさ、あんまり気張るなよ。菜月が居てくれるだけで、俺には充分支えになるんだからさ。」



「……はい…!」




結局面倒見たくなる、そういう性分なんだよなー。



そう言って笑う彼につられて私も思わず笑みがこぼれる。



彼がそう言ってくれるなら、これまで通り甘えることも続けていこう。



遠距離恋愛なんてそんなに簡単なことじゃないと思うけど、この人となら乗り越えていける気がする。



「菜月。」



彼の声に顔を上げる。
すると、唇に柔らかい感触がふってきた。



今までで一番近付いた彼との距離を幸せに思いながら私は、ゆっくりと目を閉じた。


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