第10章 初デート
映画館に着いた俺達は映画を観る。
今話題になってるラブストーリーの映画。
ハッピーエンドかと思っていたが
ラストで最愛の人を失うという悲恋物の映画だった。
好きな人を失うのはやっぱり悲しい。
俺は出てきそうな涙を堪えて
エンドロールでハンカチ片手に涙を流している理緒ちゃんによしよしと慰めるように俺は頭を撫でた。
「もう大丈夫?少し休もうか。」
映画も終わりお昼ご飯も兼ねてカフェに誘う。
まだ赤い目をしていた理緒ちゃんが
コクリと頷くと俺は彼女の手を優しく握った。
手を繋ぐことさえ緊張してしまうのに
彼女はこれでは物足りなかったのか指を絡ませてきた。
俺は彼女に愛されてる証拠。
俺も応えてあげたいけど流石に人前じゃ恥ずかしい。
二人きりになれる所……二口の言葉が浮かんでしまう。
しかしラブホテルなんて連れていったら確実に嫌われてしまうだろう。
静かで二人きりになれる所……
俺はふとある場所を思いついた。
二人でカフェでランチを食べてから彼女には行き先を告げずにそこに向かった。
そこは海。今の時期だからこそ二人きりになれる場所だ。
「冬の海って静かでロマンチックだよね!」
そう言って理緒ちゃんは嬉しそうにしてくれた。
しかし冬の海は寒さが増す。
俺は隣に座っている彼女の肩を抱いた。
「……今私凄く幸せだよ。正直ね、茂庭さん優しいから同情で付き合ってくれてるんじゃないかと思ってたんだ。」
俺は勿論同情でなんか付き合っている訳じゃない。
照れて自分から手も繋がない事が彼女を不安にさせていたんだ。
俺は緊張で震える手で彼女を抱き締めた。
「理緒ちゃん不安にさせてごめんね。俺、理緒ちゃんの事大好きだよ。」
「茂庭さん…私も大好きです。」
ニコリと笑う理緒ちゃんに俺はキスをした。
ただ触れるだけのキス。
それだけで俺は彼女の事がもっと愛しく思えた。
頼りないかも知れないけど
俺が理緒ちゃんの事いつか絶対に
幸せにしてやるから。