第1章 小さくなった名探偵
ニコニコ笑顔で
普段より高い声で
同い年の女の子に「おねーちゃん」なんて呼んで
若干、ひいた。
名探偵に恋をして 01
退屈な学校が終わり
私は今、友人の毛利蘭ちゃんと、蘭ちゃんの家に居候中という江戸川コナンくんとやら(さっき紹介してもらった)と一緒に帰っている。
「…ねぇ蘭ちゃん、本当に知らないの?」
「え?なにが?」
私がそう問うと、キョトンとした顔を私に向けてくる蘭ちゃん。
可愛いなチクショウ。
「だから、コナンくんが本当は新…」
「わーーーーー!!!!!!」
私の言葉に被せて急に大声を上げた眼鏡坊主。
よくもまぁそんな大声が出せるもんだ。
「コナンくんが本当は…なぁに?」
「し、新幹線型お子様ランチ食べたいって思ってることよくわかったね!?沙羅ねーちゃん!」
苦しくない?それ。
「…まぁね」
蘭ちゃんに見えないように私にジト目向けるのやめてくれませんかね。
全く怖くないけど。
小学一年生なんてどんな顔しても可愛いだけよ。
「ねぇねぇ、僕沙羅ねーちゃんとゆっくりお話したいなぁ!」
「…そうだね。蘭ちゃん、コナンくん借りてもいい?コナンくんとは初めましてだし色々お話したいから、時間かかっちゃうかも。遅くなったらちゃんと送っていくから、安心して」
まぁ要するに、二人にしてね。
そういうことです。
蘭ちゃんは快く了承してくれて、一人で帰って行った。
「…はぁ、お前なぁ、秘密にしてくれって言っただろ?!」
なにこの横暴な態度。二重人格か。
蘭ちゃんの前で猫かぶりすぎだろ。
実はこの江戸川コナンくんとは初めまして、ではない。
昨日偶然、近所で殺人事件があって(それも大概恐ろしいことだけど)
そこにコナンくんがいたのだ。
刑事さんに色々口出して、子供の思い付きってすごーい
みたいなこと言ってる刑事の神経を疑った。
どう見たってどう考えたって、ただ頭がキレるだけの子供じゃないってわかりそうだけど。
普通の子供はそんなこと考えませーん。
それに私はちゃんと見てた。
ドヤ顔の連発。
あの顔を私は知っていた。
何度も見ていた。
…恋い焦がれていた。
だから、初めて会ったその少年に聞いたの。
「あなた、工藤新一?」
って。