• テキストサイズ

白いアリスは彷徨う

第2章 家









怜が泣き止むと、猿比古は怜をじっと見る。




猿比古「・・・右目、見えるのか?」



怜は今、前髪で右目を隠している。



怜「あ、うん・・・。見えてるよ。」






猿比古「・・・そうか。」
怜「・・あの、伏見k」
猿比古「名前でいい。」
怜「・・・猿比古、くん。」
猿比古「・・・あぁ。」
怜「・・私、迷惑しかかけてないし、その・・。」
猿比古「迷惑じゃない。」



そうキッパリと断言されてしまい、怜はその続きを言えなかった。




猿比古「苗字がないなら、伏見にすればいい。」
怜「・・・え・・?」
猿比古「・・・うちは親がろくでもないから、うるさいけど。」
怜「・・・でも、私、」
猿比古「追い出したり、閉じ込めたりもしねぇ。」





まるで、心を見たかのような、欲しい言葉だけをくれる少年。




猿比古「お前がいたいだけ、いればいい。」





そう言われてしまって、断れる子供が何処にいるだろうか。

怜はそれを聞いて、再び目に涙を浮かべた。
涙を流す事はなかったが、笑って言った。







怜「ありがとう、猿比古くん。」





少年は、初めて少女が笑うところを見たのだ。









/ 172ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp