第5章 吸血鬼と人間
「なぁみやび。私のこと、覚えてる?」
目の前にいるのは、見覚えのある顔。
髪が長くて、幼い顔。
「お、鬼、、?」
「覚えててくれたんだね。よかったよ。だけど、鬼って言い方はひどくないか?私には名前がある」
「あ、、ごめんなさい。蛇天門。でも、なんでここにいるの?」
「あぁ、それは私がみやびを乗っ取ろうと思ってね」
「え、、」
「嘘じゃないよ?だって、今みやびの感情は不安だ。
優に会いたいって気持ちもあるけど、それは、形だけのように思える。毎晩見る夢を覚えているかい?」
「夢、、私が逃げ出した夢、、」
「その夢を見るたび、みやびは罪悪感に襲われる。その感情は、私の好きな感情でない。私が好きなのは、執着心さ。みやびから感じるものは、嫌われたくないって感情。置いて行かないで、って感情かなぁ。
それに、強さを求めていない。これが1番よくないところだ。
まとめれば、優に置いていかれるのが嫌で強くなりたいって感情だったのは、ただ優に置いていかれるのが嫌なだけ。強くなる必要なんかなくて、ミカエラの側にいたいと心のどこかで思っている。違うかい?」