My important place【D.Gray-man】
第6章 異変.
危険だ。
そう感じた瞬間、
「ガァアアァ!!」
マリの体が一直線に突進してきた。
もしかして誰かに操られているとか…!?
「ッ…ごめん、マリ!」
一般人や女性子供なら躊躇したけど、相手は肉体を鍛え上げているエクソシスト。
思考はきちんと回っていないみたいだけど、油断すれば簡単に倒されてしまう。
そこに躊躇なんてしたら致命取り。
ガッ!
咄嗟に傍にあった点滴の機器を掴んで振り払う。
その棒はマリの顔に横からなんなく、鋭い強打を与えた。
どうやら思考が回っていない分、動きも単調になっているらしい。
「ウガ、ァアア…ッ」
「あ、ごめん…っ」
ポタリと、強打した場所からマリの血が滲む。
思わず謝れば、ギリギリまで見開いた目が向いて。
「ガァアアア!!」
「!」
再び突進してきた。
「ッ…!」
駄目だ、これじゃ。
今のマリにはきっと言葉は通じない。
だからといってこの巨体を止める術もない。
──となれば。
「逃げるが…勝ちッ!」
地面に片手を付いて体を倒す。
同時に点滴の棒でマリの足元を払えば、大きな巨体が躓くように後ろに倒れた。
今だ…!
「ごめんね、マリ!」
最後にそれだけ告げて振り返らずに走る。
誰か、この状況を知ってる人に会わないと。
今のマリを救ってあげることもできない。
「はぁっ…はぁ、はぁ…ッ!」
何処に向かえばいいかなんて、わからなかったけど。
とにかくあの爆発音の下へ向かわないと。
手掛かりはそれしかないから、其処に向かう他なかった。
音は確か食堂方面からしてたはず…!
「何が起こってんの…ほんとに…ッ!」
何が起こっているのか、検討もつかないけれど。
とりあえず、嫌な予感しかしなかった。