My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「神田! 雪さんは無事です! 今は気を失っているけど…とにかく手当てを…っ」
「手当て? 見当違いも良いところ。すべきは拘束だ」
「…あ?」
アレンの強い呼びかけに、神田達の目がそこへ向く。
しかし緋装束の男がすらりと杭のような武器を取り出すと、神田の目が鋭さを増した。
「次あいつに何かしてみろ。その腕斬り落とす」
二本の六幻を手にビリビリと強い殺気を放つ彼は、恐らく手を出せば本当に斬り掛かってくるであろう。
斬撃を入れられ、ビリ、と痛む左腕に男は視線を落とした。
(此処で戦闘を交えるのは得策ではないな)
相手の武器はイノセンス。
自分の体とは相性が悪い。
(…あの怪我ではそう逃げ出せまい)
ちらりと再び雪に目を向けると、男は静かに冷たい瞳を閉じた。
「良いだろう。しかし札で拘束はさせてもらう。あれは"ノア"だ。野放しにはできない」
「……」
ス、と杭を懐にしまい込み、変異させていた左腕を人のそれと同じものに戻す。
そんな男の言動に、神田はなにも応えずじっと睨み付けたまま。
しかしその案を受け入れはしたのだろう、やがて静かに六幻の発動を解いた。
発動前の黒塗りな一本刀に戻った六幻を鞘に戻し、苦々しい顔で神田が目を向けた先は──雪の姿。