第2章 想い出語り②
俺はもともと地元の高校を受験するつもりだった。
周りの奴は自転車通学圏内の朝陽高校を志望していた。
平均的な成績であれば、合格を保証されるレベルの高校だ。
俺は担任からも朝陽高校の受験を勧められていたし、そのつもりでいた。
だけど中3の夏休み前、図書室で偶然に好きな子が志望校の話をしているのを聞いた。
彼女の第一志望校は有名な進学校だった。
分かってはいたけれど、いざ中学を卒業したら当たり前のようにもう彼女に会えなくなってしまう。
最初は仕方がないと諦めていた。
だけど、図書室で彼女と顔を合わせる度に、卒業したらもう会えなくなることが耐えられなくなった。
だから1日平均10時間の猛勉強をした。
彼女と一緒の高校に通いたい。
その為に、死にもの狂いで努力をした。