第2章 不器用な優しさ(探索部隊)
エクソシスト総本部──黒の教団──の塔の上で寛ぐ少女がいた
風が髪を撫でるのがとても心地よい
自然と肩の力も抜けて、まさにリラックス気分全開
が、しかし、それを邪魔する者が現れた
いや、正しく言うなら”物”と言った方が良いのかもしれない・・・
パタパタ、と目の前を飛ぶ無線ゴーレムから聞こえてくるコムイの声
ちょっと用事があるんだー、との事だ
#NAME1#は、一応早足で向かった
がちゃり、と扉を開くとその中は、まさに修羅場とでも言った状況
皆が皆、疲れ果てながらも身体に染み付いた仕事への執念だけで動いている状態のようだ
だがそれも、1人を除いて・・・
#NAME1#は、床に散らばった書類等を慣れたように踏みしめながらコムイの机の前に来た
「何ですか?コムイ室長」
「あ、早いねー。あのね、緊急事態なんだよ」
「・・・、何かあったんですか?」
「うん、切れちゃったんだ・・・」
「・・・は?」
「だからね、珈琲のストックが切れちゃったの」
コムイの言葉に唖然として固まった#NAME1#
珈琲のストック?
何言ってんだ、この人・・・
馬鹿だ、間抜けだ、阿呆だ、とは思ってたけど・・・此処までとは・・・!
口を引きつらせ、内心でコムイにとんでも無い事を言いながらも#NAME1#は、聞き返した
「珈琲の・・・ストックですか?」
「うん、そうだよ。だから買って来てくれるかな?リナリーが今いないんだよー」
「ようは・・・、おつかいって事ですか?」
「任務だと思えば良いでしょ?じゃ、これお金。20袋くらいお願いね」
ちゃりん、と音を出すお金を眼に映しながら溜息をつく
何でそんなに買う必要が・・・?
リーバーに怒鳴られながら仕事に向かうコムイを横目にしつつ、考えても仕様が無いので買いに出掛けた
廊下を歩きながらお金と珈琲ショップへの地図を眺める
20袋も買うって事は、まぁ、今更何を思っても・・・
「でもなぁ・・・、結構重いんだよねェ」
「何してんだ・・・?」
「あ、神田」