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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第3章 悲しい夜と誓いの朝



(・・・私、笑えてるの・・・?)

 視線を落として自問していると、
 ユーリが近づく気配がした。

(・・・?)

ユーリ「零様って・・・笑うと可愛いね?」

「・・・・・・っ・・・」

 顔を上げると、
 鼻先が触れそうなくらい近いところに
 ユーリの顔があって、
 上手く息ができなくなる。

ユーリ「さて・・・そろそろ朝のお支度しないとね。零様、俺これ片づけてくるから、その間にお支度済ませておいてね」

 そう言って、何事もなかったかのように
 ユーリは爽やかに去って行った。

「・・・・・・・・・」

 突然の出来ごとに
 早鐘を打つ胸を落ち着けようと、
 深く息をつく。

 そして、支度をするため
 ゆっくりとソファから立ち上がった・・・――。


 ユーリがティーワゴンを下げに行っている間に
 着替えとメイクを済ませた私は、
 窓を開けて大きく息を吸い込んだ。

(・・・いつまでもくよくよなんてしてられない)

 この国の空は、
 今日も青く澄み渡っている。

 少しだけ痛む胸にそっと手を当てて、
 きっとどこかで見守っていてくれる
 お祖父様に小さな誓いを立てる。

「・・・お祖父様。私、もっと強くなる。だから、どうか見守っていて・・・」

 正直、不安しかないけれど。

(それでも、前を向くと決めたから・・・)

ユーリ「零様、そろそろ朝食の時間だよ」

 ノックの後にユーリが顔を覗かせる。

ユーリ「外に何かあった?」

 窓際で外を眺める私の横に並んで、
 ユーリも外を見つめる。

「・・・・・・今日もいいお天気だなって」

ユーリ「・・・そうだね」

 外を見つめたまま言葉を返すと、
 ユーリも空を見上げてふと微笑んだ。

ユーリ「そろそろ食堂に行こう。みんな、零様を待ってるよ」

 笑顔で差し出された手を取り、
 ゆっくりと歩き出した・・・―――。
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