第6章 あとどのくらいで、君の瞳に映れるのか
桜が舞う島を出て一週間。
アクアがこの船に乗ってからもうすぐ一ヶ月が経つ。
相変わらず愛想の無い彼女だが、少しだけ変わりつつあった。
何かと部屋に籠りっぱなしだったアクアだったが、気付けば食堂で他のクルー達と話していたり、甲板でベポと昼寝したりと、船内をうろついている事が多くなった。
と思えば書物庫でおれでも読まないような難しい本を引っ張りだして部屋で読んでいたりと、やはり掴めない事には変わらないが。
だが、あれほど毛嫌いしていた“海賊”に馴染んできた事は確かで。
きっと彼女の中で「この人達は自分が思う海賊とは違う」と気付き始めたんだろう。
それは少なくとも心を開き始めている証拠。
このまま何気ない日々を過ごしていれば、失ったアクアの笑顔を取り戻せるような気がした。