第1章 はじまり
数年後、私は死神を育成する真央 霊術院にいた。
父との生活は呆気なく終わってしまった。
虚の襲撃によって……
その時のことは覚えていない。
気付いた時には身体中怪我をして死神に保護されていた。
暫くは話すことも出来なかった
父を亡くした喪失感で死んだように過ごしていた私を救ってくれた人がいた。
心を閉ざした私に辛抱強く語りかけ、声を取り戻し、心を開く切っ掛けをくれた死神。
その人のようになりたいという思いだけで必死に勉強した。
夢中で学んでいる時は寂しさを忘れることができた。
早く、早く一人前になりたい。
誰かの役に立ちたい。
誰かに必要とされたい。
この世に一人きりになってしまった絶望を振り払う為に必死だった。
それでも夜になれば暗闇とともにやってくる孤独に耐えきれずに涙をこぼす日もあった。
誰かに抱き締めて欲しい。
大丈夫だと、一人ではないと、そばにいると言って欲しい。
叶わない夢だと自分自身に言い聞かせ、思いきり体を小さくして眠った。