第3章 覚醒
「こちらの生徒も治癒が終わりました。」
優姫が藍染に告げた。
横たわっている生徒は見事に怪我も治っている。
複数の死神を一度に治癒できる斬魄刀……
その霊力は卯ノ花の斬魄刀の肉雫唼(みなづき)に近いものがある。
最後の生徒を運び出そうとしたとき、優姫の体が揺れた。
咄嗟に駆け寄った藍染の腕の中に、華奢な体が倒れこんできた。
その瞬間光の空間が消失する。
腕の中を見ると少女は気を失っていた。
その細い肩と、あどけない寝顔に自然と頬が緩む。
純粋に可愛いと思う。
こんな感覚は初めてかもしれない。
その頬を優しく撫でたあと、優姫を卯ノ花の元へ運ぶ。
この日突然の霊力の解放と斬魄刀の始解をして疲弊した優姫はこの後二日間眠り続けた。
数年後、無事に卒業を迎えた優姫は死神として、四番隊の卯ノ花の元でその力を振るうことになる。