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ワールドトリガー【中・短編集】

第12章 ちょっと休憩


『お兄ちゃん!』

「ん?どうした?夏海」

作戦室のソファで寝ているお兄ちゃんの前まで行く
お兄ちゃんは体を起こすと私の腰に腕を回した

『もう、お兄ちゃんったら………』

「昨日はレポートで寝てないんだよ。いいだろ、ちょっとぐらい」

『もう………』

といいながらも腕を振りほどけないでいる私もお兄ちゃんには甘い
もちろん、レポートを溜め込むお兄ちゃんが悪いと言われたら言い返す言葉も出てこないのだが、昨日は本当に頑張っていたのだ

『お兄ちゃん………この体勢……辛くないの?』

「………ああ、別に平気だ」

と言っているが、いくら徹夜明けとはいえ、この体勢では眠れないだろう

私はソファに座って自分の太股を叩いた

『膝枕してあげる』

「さんきゅ」

倒れるように私の太股に頭を預けたお兄ちゃんの髪を撫でていると寝息が聞こえてきた


『……お疲れさま………お兄ちゃん……』





「太刀川さんいるー?」

『公平っ静かに』

作戦室に入ってきた俺を小声で注意する夏海の膝の上に目を落とすと、気持ち良さそうに眠る我が隊長

相変わらず仲のいい兄妹だ

「夏海はいつ来たんだ?」

夏海たちと向かいのソファに座る

『30分ぐらい前。お兄ちゃん、家に帰ってこなかったから気になって』

「あー、なるほど」

大体想像はつく
太刀川さんが家に帰らないのは、諏訪さんたちと朝まで麻雀するか課題に追われているときだ
麻雀するときは夏海に連絡入れるから今回は後者だったらしい


「それにしても、お前らって兄妹ってより、カレカノだな」

『いやいや、そんなことないでしょ』

「いや、こんな仲いいのなかなかいねーぞ」

『そうかな………?どこにでもいると思うけど……』

「いねーよ」

食い気味につっこまれて思わず顔をしかめたその時、膝の上で寝ているお兄ちゃんがモゾモゾと動いた

「……ん………なんだ……?早いな出水」

「どーも」

『もういいの?お兄ちゃん』

体を起こしたお兄ちゃんは私の髪を優しく撫でると笑った

「ああ、十分だ。かなり楽になった。ありがとな」

『うんっ!』



(ねぇ、柚宇さん。あの二人って兄妹ってより恋人じゃない?)
(そうだねー。でも、あんな感じじゃなきゃ心配になる)
(まぁ、確かに……?)
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