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ワールドトリガー【中・短編集】

第11章 笑顔――迅悠一


『…………げ』

目の前の夏海は顔を歪めた

「そんなあからさまに嫌な顔するなよ夏海」

『駿が会いたがってたよ。会いたがってる人のところに行きなよ』

「まあ、あとで行くよ」

『今すぐ行きなよ』

「俺は夏海に会いたかったから」

そういうと、目を見開いた
だが、すぐに真顔に戻る

『私は会いたくなかった』

「ひどいなー夏海」

歩き出した夏海の隣にならんで歩く

「なあ、まだ俺と付き合う気にならないわけ?」

『ならないっていってるでしょ。変態』

「でも、俺はお前と付き合ってる未来が見えるんだけど?」

『気のせい』

表には出さないが内心ちょっと傷ついている俺
元々好きだったが、最近サイドエフェクトで夏海と付き合う未来が見えた

思いきって告白したが、フラれた
けど、まだ付き合ってる未来が見えるため俺は根気強く夏海にまとわりついてるってわけだ


前から出水たちが歩いてきた

「あっ!夏海さん!迅さんも。ちっす!」

『今日は駿は一緒じゃないの?』

出水たちとは笑顔で話す
何でその笑顔を俺だけには見せてくれないんだ

「あー、あいつは防衛任務っすよ」

『………そっか………』

「夏海さん今暇っすか?ランク戦しましょーよ!」

『暇暇!!行こう!』

俺から逃げたいのか夏海は米屋と出水を引っ張っていこうとする
だが、そうはいかない

ギュッ

『ぎゃっ!!!』

俺は夏海を抱き締めた

「逃がさねーよ?」

『逃げる!』

夏海は全速で走り出した

『陽介!公平!ごめん!!また今度!!』

「夏海さんがんばって!」

「今度20本!!」

夏海はそれに答えるように片手をあげて走っていった
俺もすぐにそのあとを追う









「迅さんも懲りねーよなー」

「でも、結構お似合いだぜ。あの二人」

「ははっ、確かに」

二人が走っていった方向を見て、笑う出水と米屋だった


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