【最俺&アブ】実況に手を出したら大変パニックなことになった。
第1章 ゲーム実況絵師
ゲーム実況枠をやった翌日のことだ。
「おおお…なんぞこれ…」
twitterもニコ動のコミュ参加人数もエライことになっていた。
桁がひとつ増えている。
なんかやたらメッセージとか書き込みが来てる。
一晩中ギャアギャア言いながらゲームをしていたわけだが
ただならぬ反響を呼んでいたようだ。
ゲーム中は気付かなかったけど
ランキングも1位とかとっていたらしい。
「こ、この数字は有名な実況者さんと並ぶレベルの数字なんですけどあの…え、私すげえ」
女らしさのない悲鳴を撒き散らしてただけなのに。
いや、コメントを見ていた限り、それが楽しくてたまらない人たちが多かった気もする。
「繭子~!!なんで昨日はTS残してくれなかったのおおお!!」
「あ、おはようお兄ちゃん今日も朝からうざいね」
「うざくないよ!?っていうか、なんか繭子のtwitter見たけどえらいことになってるじゃん!なにしたの!?」
「twitterまで監視してるのかよ!ただちょっと、ゲーム枠やっただけだし。」
「ええええ見たかったあああああ!!!」
見られなくてよかった。
心からそう思った。
「はあ、俺の繭子がどんどん人気者に…」
「お兄ちゃんのじゃないし。そしてくっつかないで。」
後ろから私の両肩を掴んでぐりぐりと頬ずりしてくる。
とても…うざいです…。
「でもゲームで功績あげるとか、やっぱ繭子は俺の妹だなあ!うんうん!」
「功績って…。私は絵を描いてたいだけだったのに。」
「じゃあゲーム実況絵師ってことで。」
「なにそれ」
「あとは歌って踊ればニコ動制覇できるんじゃない?」
「あんたは一体私をどこへ向かわせようとしてんだ」
でも確かに、絵を描くのと同じくらい、ゲームが楽しかった。
1人用ゲームは1人でやるものだと思っていた。
でも、沢山の人に見守られながらするゲームは格別に楽しくて。
兄の気持ちが、わかった気がする。
「…今夜はTS残すよ」
「え?」
ただ、もっと楽しいことになるような気がして。
「実況者アブを超えてやる」
ニっと笑って、余裕顔。
兄は、一瞬キョトンとしたが、すぐに嬉しそうに。
優しい笑顔を見せてくれた。
「うん、かかってこい」
ゲーム実況絵師の誕生だった。