第1章 声優アイドル時代
梶裕貴side
どーゆうことだよ、それ。
そこまでする必要なくない?人気はあるというか、女の子達の俺達への騒ぎようは声優って枠に収まんない事はわかってる。
けど恋愛を不自由にさせられる職業なんかじゃないはずなんだけど。
そんな言葉を吐けるわけがなかった。あんなに重々しい空間で。
どんなに人気な声優さんも、俺よりずっと先輩な声優さんも、モデル以上に顔の整った声優さんも、女の子が好きな声優さんも……皆、黙ってたから。
さすがに俺が口を開くなんて無理。
「まるでジャニーズじゃん」
今恋愛をしてるわけじゃないけど、何と無くそこそこの年で結婚して幸せになるんだろうな。って思ってた俺にはちょっと辛い。
怒りと悲しみがちょっと混ざった声を、隣にいた下野紘は聞いたようだった。
「声優のはずなんだけどね」
ひろたんもどこか納得してなさそうだけど、やんわりとした笑顔を見せている。
やっぱり俺よりも大人だ。
ひろたんも、しもんぬって愛称で凄く人気がある。でも、これはやっぱりどうなのかな。