第1章 声優アイドル時代
紗織side
昔から声優さんが大好きだった。
たまたまアニメ専用チャンネルで入っていたカッコイイキャラに一目惚れしての事だった。
エンドロールに流れるキャラの名前の隣に書かれた読めない漢字が気になって、お母さんに調べてもらった。
誰かは言わない。今はどの声優さんも好きだから、誰が一番好きだとかを決められないから。
自分一人だけの頭の中だけど、優劣をつけたいとは思わないんだ。
ただ……私が好きになるのは、男性声優さんばかりだった。
別に女性声優さんに興味がないわけじゃないけど、可愛さをあんまり求めていないみたいで。
イベントの時に場を盛り上げてくれたり、ファンの望む言葉を甘く囁いてくれる男性声優さんの方が魅力的に感じられた。
これは凄く偏見で、異性を見る目での事なのかもしれない。
ただ、やっぱりこれから先も変わらず男性声優を好きでいそう。
今やアイドルみたいな人達だけど、一度でいいからプライベートで一緒に会ってみたいな……。
ーーーそう思った、とある春。
求人誌を片手に今日も一日が過ぎて行く。