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しょうが【立海】

第6章 報酬は水色のアイス


「何かあったら、必ず俺たちに言うんだよ。いいね?」

この前みたいに、全部黙って処理しないこと。
そう念を押されたのは、私が別の話題に逃げてしばらくした後、というか帰り際のことだった。
それは私だけじゃなく、ブン太の彼女に向けての言葉でもあるんだろうけど、一応まわりに相談はしてるから大丈夫よーと答えて、ふと思ったことを口に出してみる。

『幸村くんと付き合ってたら、災難のほうが裸足で逃げそうだよね』
「俺は構わないけど、試してみる?」

即答された。

『……真顔でそんなお茶目を投下できるなら、しばらくお見舞いは来なくても大丈夫かな』
「なんだ、フラれちゃったか。残念だな」
『白々しく聞こえるのは気のせいでしょうか』
「気のせいじゃないさ」
『なにそれ、ひどい』
「君も十分酷いと思うけど」

面白くないじゃないか、と笑う部長様は、心底楽しそうな表情をしていた。
思わず、入院中だということを忘れるくらいには。

「空乃さんは真に受けてくれないからね。こういう冗談」
『面白味がない、の間違いじゃないの』
「いや、面白くないよ。男としては」
『男として、か』

そういえばあなたも、ただの男子中学生でしたね。

『そろそろ面会時間終わるから、これくらいで失礼するね』
「また来てくれるとうれしいな」
『うん、考えとく』

しばらくブン太のスイーツショップめぐりの相手は、あの後輩ちゃんになるだろう。
となればオフの日も空きが増えるし、見舞いの回数も増やせるかもしれない。

『近いうち、レギュラーの誰か誘って、また来るよ』

ブン太と一緒に、とは言えなかった。
嘘をついているようで、ちょっと後ろめたかったから。
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