第5章 居場所
山口side
あの日から4日目の朝。日曜日でちよちゃんの保育園はお休み。…ということで、俺はちよちゃんと菅原さんと近所の公園に来ている。
…日曜日の朝の公園て、意外と賑わってるんだな……。
小さい子連れの親子や、散歩のついでにご近所さんとお話みたいな感じのおじいちゃんおばあちゃんで、公園は賑わっていた。
公園のベンチに座り、ちよちゃんを間に挟んで話す。
「……菅原さん、公園とかよく来るんですか?」
「まあな。…でも、ちよが生まれてからの話だぞ?」
「…やっぱり子供がいるって違うんですねぇ〜……」
この公園は、ついこの間までツッキーとふたりで暮らしてたアパートから目と鼻の先だ。
だけど、3年間もあの家に住んでいたのに、ツッキーとこの公園に来た記憶はない。
それだけ家庭を持つということは、大きなことなんだ。
…それにしても、、、、
俺だってもう25だし、家庭を持つことを意識したってなんの問題もないはず。
…だけど、家庭を持つ…とかいう以前に、俺は家を飛び出して、大切な人達と向き合うことを避け、菅原さんの家に転がり込んでいる……。
菅原さんは、俺と2歳しか変わらないはずなのに…。
「…あの!菅原さんは…25のときって、なにしてましたか…?」
「ん?俺か…?そーだな……。ちよが生まれたのが俺が24のときだからぁ……『も、もういいです!;;;』ん?そうか…?」
ヤバい。;;;
俺とはそもそも次元が違った;;;
彼女とか、フられたとか、そんなんでバタバタして…俺って……なんか、情けないな……。
「…俺はさぁ……、たまたまカミさんと知り合って、それで今は、こんなに可愛い娘にも恵まれたけどさ…」
俯きがちにちよちゃんの右手を握りながら、そう呟く菅原さんは、どこか複雑そうな顔をしたあと…
「……。…ちよ、ちょっと砂場で遊んでてくれるか?パパは忠とお話があるからさ!な?」
そう言ってちよちゃんの右手を離し、トンッと軽く背中を押した。