第1章 今日からあなたの彼氏です【影山飛雄】
「部活が終わったら時間あるか?」
「え………あ、はい」
ある日の部活前、影山くんが話し掛けてきた。
北川第一で王様と呼ばれた影山くん。
あまりいい話は聞かなかったけど、同じクラスになって、同じ部活に入って
変わり始めた影山くん。
思えばよく彼を見るようになった。
最近は特に胸がドキドキする。
「行くぞ、日向ぁ!!」
「来い!影山ぁ!!」
コートの外に転がってきたボールを拾いながらチラリと影山くんを見た。
すると、偶然にも影山くんと目が合って私はとっさに目をそらしてしまった。
「美咲ちゃん、ちょっといい?」
「あ、はい!今行きます!」
清水先輩に呼ばれ、向かった。
それからドリンクの補充をしたり記録をしたりマネージャー業に集中していたらあっという間に日は暮れ部活は終了した。
着替えて外に出ればバレー部の皆が待っていた。
「清水!北川!一緒に帰るか?」
「潔子さん~!」
「美咲ちゃん~!」
澤村先輩と田中先輩、西谷先輩が私たちに声を掛けてきた。
「でも、私……」
「すいません、こいつは今日オレと帰るんで」
「ちょ………影山くん!?」
影山くんは私の手を引き歩き始めた。
「し、失礼します」
私は皆にペコリと頭を下げながら影山くんの後ろを歩いた。
「ちょっと!何!?アイツ等!!」
「そんな関係!?」
後ろからは田中先輩と西谷先輩の叫び声が聞こえていた。