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【刀剣乱舞】それは、確かに恋でした

第1章 崩れる、音がする


主の部屋から、変な異臭がしてきた。
あまりの臭さに、僕は着ていた十二単の袖で鼻を抑える。

実の所、嫌な感じはしてた。
主は痴呆症が始まり、好き嫌いが激しくなった。
甘いものばかり食べて、野菜や肉は一切食べない。
甘いパンケーキかお菓子ばかり……。
そのせいで、医者から貧血と認定された。

それで、鉄入り牛乳で甘いお菓子を作ってもらっていた。
――それでも、病気が治らない。
点滴しようと思っても、本人が嫌がって外してしまう。
無理に縛ると、長谷部から怒られる始末だ。

こんな状態だから、「親父は長くない。覚悟をしてくれ」と主の息子から言われた。
彼は、僕ら全員を引き受けられる程力がない。
実のところ、僕らは付喪神の本科。
だから、必要以上に霊力が必要。
そのため、主以上に力の強い孫の優大様が次に審神者に選抜されてた。

僕は、その優大様を幼い頃から世話してるから、仲はいい。
でも、やっぱり僕を鍛刀してくれた主が一番だ。
ヘラヘラと笑うあの笑顔がちょっと気持ち悪いけど、何をしても怒ることのない仏様のような人。
浮気もせずに、真面目に審神者として働いてた、社会人の鏡だ。
僕は、そんな主を尊敬してた。
――でも、なりたいとは思わないけどね。
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