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【テニプリ】闇菊【R18】

第10章 【ホウカゴ】




「……空、か」


ここは校舎の上の更に上、学校で一番空に近い場所。
屋上の入り口を入ってすぐのはしごを登った先にある、ちょっとしたスペースは最近のオレの指定席。


遮るものが何もないそこに寝転んで、だだっ広い夕焼け空を見上げると、飛び立つ鳥に視線を向ける。


いつも手を伸ばせば届きそうなこの場所で、届きもしないそれに手を伸ばす。


すぐ近くに見えて、実はすごく遠くにある。
どんなに必死に伸ばしても、絶対この手では掴めない。
眩しく光り輝く憧れと、どす黒く渦巻く憎悪とが入り乱れる。


伸ばした手の指の間から見える空。
このまま溶けてしまえばいい、消えてなくなってしまえばいい。
オレの心も身体もすべて、この空と一つになってしまえばいい。


そう思ってひたすら遠い空を仰ぐ。


「お、誰もいねーぜ?」


屋上の重い扉がギギーッと開く音と鈍い振動を感じて視線を向ける。
チッ、誰だよ……、そう心の中で舌打ちをする。


身体を反転させてうつ伏せになると、頬杖をついてそいつらを見下ろした。


「なぁなぁ、最近、ちょっとヤバくね?」

「ああ、アレだろ?」

「なになに?何のこと?」


なんだ、クラスメイトの小林達じゃん……


クラスメイトの男子3人は、ここで寝転ぶオレには気がつかないで、そのままフェンス沿いまで進むと、和になって話し込む。


「なんだよ、わっかんねーのか!?小宮山だよ、小宮山!!」


ふーん、小宮山ねぇ~?


その名前を聞いて思わずニヤリと笑う。


「ああ、なんか急にイメチェンしたよな」

「イメチェンなんてレベルじゃねーって、ありゃ」

「メガネ外したら実は美人ってマジであるんだな!髪なんてサラサラでさー!」


そう盛り上がるクラスメイトの会話を、高い位置から見下ろして優越感に浸る。

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