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【テニプリ】闇菊【R18】

第9章 【キクマルトエイジ】




放課後、視聴覚室のドアをこっそりあける。
中は薄暗く人の気配もない。


「菊丸くん……?」


そう呼んでみたけれど、返事もなければ姿も見えない。


教室に彼の姿はなかったけれど、まだここにも来ていないのかな……?


だいたい、放課後っていったい何時よ?そう思ったら腹が立ってきて、もういいや、帰ろう、とドアに向かって手を伸ばす。


「ひっでー、もう帰っちゃうの~?」


そう突然耳元で声が聞こえ、後ろから身体を包まれる。
その突然の出来事に身体が震える。


「イヤッ!やめて!離して!!」


そう全力で暴れながら必死に悲鳴を上げる。
怖くて目から涙が溢れ出す。


「わーっ、わーっ!小宮山、落ち着け!オレだって!シーッ、シーッ、シーッ!!」


そう後ろから口をふさがれ、え?っと思って視線だけ声の方向にむけると、シーッと人差し指を立てて焦った顔をしている菊丸くんが見えた。


落ち着いた……?、そう聞く彼にコクンコクンと首を何度か縦に振って答えると、ふーっ、焦った~と菊丸くんは私の口から手を離し、それからその場にしゃがみこむ。


「つーか、普通、オレだってわかんじゃん、あんなに驚くかよ、傷つくにゃ~」

「き、菊丸くんだって分かってても驚きます!」


自分がしたことを棚に上げて、いったいどの口が言うんですか……!、そう睨みつけて言うと、はは、そりゃそーだ、と菊丸くんは悪びれず笑った。


1人の時はあんなに嫌悪感を抱いていた彼なのに、何故か頬が赤くなるのがわかり、高鳴る心臓にイライラした。

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