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【テニプリ】闇菊【R18】

第4章 【オソレトフアン】




「英二、英語の宿題やってきたかよ?」

「ほえっ!?宿題なんてあったっけ!?」

「プリントあっただろー、お前、今日あたるぜ?」

「……やっべ、机に入れっぱじゃん!」


彼の声はちょっと高めのベイビーヴォイス。
甘えた感じで話すのは彼が5人兄弟の末っ子だから?


マジでー?、そう頭をかく菊丸くんに、私の見せてあげる?と女の子たちが争うように立候補する。
すると彼は、んー……とちょっと考えこむと、いーや、と輪から抜けて歩き出す。


え……?
菊丸くん……こっちに来る……?


菊丸くんが私の席のほうへと歩いてくるから、慌てて本に視線を戻す。
顔を隠すように立てた本を持つ手が震える。
彼が近づいてくるのに連れて、私の心臓も早くなる。


「オレ、不二の教室行ってくるー、教科書も忘れちゃったし、ついでにちょいちょいっとやってもらうわ」


菊丸くんは震える私の前を素通りすると、そう言ってプリントをひらひらさせながら教室を出て行った。


はあ……あんな事があった後だから、こんな普通のことでも平静を装えなくなっている……


心臓に悪いよ、全く……


廊下から聞こえる、ふぅーじぃー!!と不二くんに助けを求める菊丸くんの声と、バタバタと走る足音に耳を傾けながら、こっそりため息を付いた。

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