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【テニプリ】闇菊【R18】

第20章 【ソシテワタシハ】




屋上のドアの前でしばらく悩み考える。
英二くんは私の席の前を通るとき、こっそり大丈夫って合図をしていってくれたけど、それでも、やっぱり私がしたことだし、知らない振りは出来なくて……


不二くんにも直接ちゃんと謝りたいし、いても経ってもいられなくてここまで来てしまったけど、やっぱり2人の話の邪魔しちゃ悪いし、第一気まずくて入りにくい。


しかもなぜか立ち入り禁止って書いてあるし……


ガチャとドアノブが回る音がして、突然目の前の重い扉が少し開いたから、ドキッと心臓が跳ね上がる。


「ふーん?そう、分かったよ」

「分かったって、全部話すよっ!」


そう中から少し怒った様子の不二くんと、焦った感じの英二くんの声が聞こえて、慌ててドアが閉まる直前にサッとドアノブを手で抑える。


こっそりその隙間から中を覗いてみると、奥に戻っていく不二くんの背中が見えた。


良かった、気付かれていない……ホッと胸をなで下ろし、ちょっと罪悪感で胸が痛んだけれど、そのままドアを手で押さえ、2人の声を盗み聞きさせてもらうことにする。


「最初はほんと、オレが軽い気持ちでさ、小宮山の気持ちなんてお構いなしでさ……」


やっぱり私の話だ……徐に聞こえてきた自分の名前にドキッとしながら耳を澄ますと、英二くんの声が上から聞こえてくる。


ああ、英二くん、またこの上に登っているんだな……そう思いながらそっと目を閉じて、その声に集中する。


英二くんは不二くんに私とのことを、始まりの公園でのことから順序通り説明していて、あの時、そんな風に思っていたんだ……そう思うと、正直、胸が締め付けられるように苦しくなり、じんわりと涙も滲んでしまう。


バカ、そんなこと、もうわかっていることじゃない……それに英二くん、ちゃんと私に謝ってくれたもの……


何時までもクヨクヨする自分が嫌で、痛む胸を抑えながら、ふぅーっと深呼吸をして無理に笑顔を作った。

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