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【テニプリ】闇菊【R18】

第16章 【ヘンカトフアン】




「英二くんっ!……英二くんっ!」


そう何度も名前を叫びながら、あなたに全てを委ねると、悲しみも苦しみも、切なさも傷みも、その瞬間、すべて喜びに変えて解き放ってくれる。


訪れるのは高揚感、そしてさらに大きくなる悲壮感に絶望感。


何度も交わる身体、決して交わらない心___


より暗く、より深い闇の中に落ちていく。
英二くん……そっともう一度呟いた。


……誰かいる?


落ちていく深い闇の底から感じる気配……


……誰……?
……分からない……


泣いてる……?
……どうして……?


ふと上から感じるぬくもり……
……温かい……ネコ丸……?
……ううん、違う……


……いい香り……
そう……私を包み込むこの香りは……


……英二くんの香り……


一気に気持ちが引き戻される。


フワフワする……夢を見ているみたい……
ああ……これは夢だ……


夢なら……いいかな……?
ちょっとだけなら……いいかな……?
ギュってしても……いいよね……?


ああ、気持ちいい……温かい……
お願い……覚めないで……
もう少しだけ……覚めないで……


……、……小宮山……


……あれ?……声まで聞こえる……?
心地よい……少し高い優しい声……


……大好きな……英二くん……


「小宮山ってば!」


……夢……じゃない……?


そっと目あけると、ぼんやり見えたのは私を見つめる英二くん。


優しい顔で微笑んでいる……
なんだ……やっぱり夢だ……


……なんて幸せな……夢……


そっと回した腕に力を込めて、その胸の温もりに頬擦りをした。

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