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【HP】月下美人

第7章 あえかな君


 翌日、大広間で朝食を取っているときのことだった。
「おっはよー」
 にこにこにこにこ。
「ダモクレス。私、怒ってるのですが」
「……ごめんねー」
 にこにこにこにこ。
「もう二度と貴方を信用しません」
 貼り付けたような笑みのダモクレスにキラはきっぱりそう言った。
「あら、嫌われちゃったー」
「当然です! 私たちがどれだけキラを心配したか…!」
 キャリーも加わってダモクレスを責め立てる。
「だってー面白そうだったんだもーん。シリウス・ブラック、格好良かったでしょー?」
 肩を竦めるダモクレスから出た言葉に、キラは目をむいた。
「ど、どうしてそれを…」
「シリウス・ブラック、ですって?」
 キャリーの目が光る。
「どういうことなの、キラ。シリウス・ブラックと何があったの?!」
「へ?」
 なぜだかキャリーの詰め寄る対象が自分になってしまいキラは呆けた。
 するとダモクレスが当然のようにキャリーの隣に腰を下ろして話し始める。
 まるで見ていたかのように詳しく。
 …いや、見ていたに違いない。

「んまぁ! キラったら!! あのシリウス・ブラックに声をかけられるだなんて!!」
「どうして助けてくれなかったんですか?!大変だったんですよ!!」
「それでシリウス・ブラックはどんな人だったの?詳しく教えなさい!」
「いやー、なんか面白そうだなーって思って」
「面白くもなんともありません!」
「キラがシリウス・ブラックに平手打ち…」
「それはあの男が最低だったの!腹が立ったから思わず…仕方ないじゃない」
「そんなことはどうでもいいのよ!シリウス・ブラックに近づけること自体中々無いことだわ!」
「そうだよねー。まさか声かけられるだなんて思ってもなかったしー」
「そういう問題ではないんですよ!」
「キラ!こうなったらシリウス・ブラックに謝りついでにお近づきになるべきよ」
「え、なんで」
「キャリー、多分キラ、シリウス・ブラックのこと知らないよ…」
「なんですって? …あぁ、そうね…そうだった、貴方はこういうことに疎いんだったわ」

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