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~囚われの姫君~【中世☆黒子のバスケ】

第10章 【第九章】領主の憤り


=洛山=



桃井が、領城に到着した。

憔悴しきった、桃井を実渕に任せ、執務室に戻った。


『…黒子では、守りきれなかったか。』


俺は、椅子に座り足を組む。
目を閉じて、思考を深くする。

すると、ドアをノックして、実渕が入室してきた。


「征ちゃん、桃井ちゃんを部屋に案内したわ。」

「あぁ、ありがとう、玲央。」


俺は力を抜いて、実渕の方を見た。


「…本当なの?総一様が…。」

「その名前を口にするな。…不愉快だ。」


俺の殺気に満ちた声に、実渕は怯えた目をした。


「…分かったわ。で、どうするの?」


まだ、怯えが残った声で聞いてくる。


「…俺たちが動かなければ、今は無事だ。…美桜の…16歳の誕生日までは。」

「誕生日?」

「あぁ。…ヤツの狙いは、王位。
正当な方法で王位を手にするとしたら、美桜自身が、王位の返還をすること。
そのためには、美桜自身が16歳で成人して、返還権を持つことが必要なんだ。」

「…じゃあ、成人して返還したら、解放されるんじゃないの?」


俺は、椅子から立ち上がり、窓の外を見る。
遠くに見える山脈。
あの山を越えると、王都だ。


「…王位を返還した所で、国民が信じない。美桜が王位を叔父に任せ、死んだという事実が欲しいんだ。
…だが、そんな未来はこない。」


俺は、実渕の方へ振り向く。


「アイツは俺が殺す。」


「っ!!!」



赤司は片方の目を金色に光らせ、殺気を放っていた。


『征ちゃんっ……』


今までの赤司とは明らかに違う。
実渕は、赤司の本気の殺気に、恐怖するしか出来なかった。




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