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~囚われの姫君~【中世☆黒子のバスケ】

第5章 【第四章】君を助ける為に…


目の前から、黒子が消えた。

桃井の覚醒しきれなかった頭が、衝撃で一気に引き戻された。


「…っ…テツくんっ!!!」


桃井は力一杯総一を突き飛ばし、窓際に駆け寄った。


「テツくん!テツくん!!テツくん!!!」


髪の毛を振り乱して、黒子の名を叫ぶが夜の森に消えた黒子は見つからない。
涙が頬を伝い、床に落ちる。
桃井は、総一を睨み立ち上がる。


「よくも!よくもテツくんをっ!!!」


桃井の怒気に、総一は肩を震わせ、やがて汚い笑い声を上げた。
その態度に桃井は驚き怯え後ずさる。


「君もそこから飛んでみるか?」


優しい声とは裏腹に、総一の顔は醜く歪んで手を差し出していた。


「…だめ…さつきちゃん………だめ!」


鉄格子の中で、両手で口を覆い、今にも壊れそうに震えている美桜を見て、さつきは混乱して動けなくなってしまう。


『美桜…』


大きく開け放たれた窓から入る夜風に、桃井のピンク色の髪の毛が揺れる。


「まぁ、君にはまだ働いてもらいたいんだ。ここでは殺さない。」


総一は桃井にゆっくり近づき、風に揺れる髪の毛を一房指に絡ませ、唇に寄せる。
そして、檻の中の美桜に視線を送り、鼻で笑う。

桃井は恐怖と驚きで目を見開き、恐る恐る見ると、総一は目を細めて髪の毛から手を放した。
そして、持っていたナイフを美桜がいる檻の中へ放り投げつけ、傲慢にいい放った。


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